善波社長ブログ「居酒屋日記」
平成12年から平成18年にかけて、私は練馬区の桜台という駅の近くで「Y」という居酒屋を営んでいました。
そこに至る経緯についてはここには記しませんが、
下積みや修行期間があるならともかく、まともに包丁も握ったことのない人間が家業を放り出し、
場末の小さな店とはいえ、ひとりで飲食店を切り盛りするなど、いかにも無謀なことでした。
それでも当時の私には自分が創り出した空間にお客様をお迎えするという仕事がとても魅力的に見えたし、どこかに勤めるのは、
自分にはお客様から直接お金をこの手に貰えるような才覚が無い
と判ってからでも遅くはないと思ったのです。
実際に店を開けてみて、自分の力で付加価値を生み、
利益を出すのがどれほど大変な事か思い知りました。
150円で仕入れたほうれん草一束を、
胡麻和えにしてお通しとして使うと、
200円足らずの材料費が3000円の売り上げになります。
酒を売るのに比べれば夢のような粗利率です。
お客様が私の料理と価格を見比べて、納得すればよいのですが、そうでなければその日の勘定を渋々払って、その人は二度と来なくなる。
そんな当たり前のことに気付いてから、料理の下地が無い自分は、
単価が500円以上のメニューを提供することが怖く感じるようになりました。
お客様の前に200円のお通しを置く時でさえ、
代表/善波栄治
この料理に、お客様は値段分の価値を認めてくれるのかな。
と思うと手が震えたものです。
そんな、まともな手順を経ればしなくて済むはずの苦労は、
私にとって
酒屋という仕事の有難さ
を再確認する機会にもなりました。
仕入れたら自動的に利益を乗せて売れるし、
品質にはメーカーが責任を持ってくれている。
その味をお客様が気に入らなければ、
とりあえず一緒に貶して他の物を薦めれば済む。(メーカーさん、すみません。)
それは冗談としても、私達が取り扱っているのは、
プロの作り手が自信を持って世に出した商品
で、料理の経験が無い三十男がこわごわ出すきんぴらとはわけが違うのですから、お客様に売る時に卑屈になる必要はないのです。
当時と現在を比べると、
少なくともその点は幸せだと感じます。
シェア拡大の為に価格訴求という手段をとる酒販店は常に存在しています。
私も安い見積りを得意先に放り込まれて憤ったことは数知れません。
業界に入ったばかりの頃は、
やられたらやり返せばよい
などと考えた時期もありました。
けれど今の私は、
せっかく胸を張って売れる品質の商品を、
帳合の為に利益を削って売るのは、業界の利益水準を引き下げるだけでなく、
その商品の作り手の苦労をないがしろにする行為ではないかと感じるのです。
そんなことを言うと、
作り手であるメーカーが、安売りでシェアを伸ばしている酒屋を持ち上げているんじゃないか。
という声も聞こえてきそうですね。
大メーカーは量を売ることも大事でしょう。
しかし、安売り合戦は帳合が移動するだけで、
消費量を増やすわけではないことも分かっているはずです。
これから飲酒人口が減り、酒類消費の増加が見込めない中、
商品の価値を高めることはメーカー各社にとって一層重要なはずです。
精魂込めて送り出した商品の価値を下げてでも、
取扱量を増やした業者にリベートを支払うならば、
安売りをせず、
商品の価値を高めた貢献へのリベートがあっても良いのではないでしょうか。
皆様、如何でしょう。
お買い得商品の紹介!
などと、問題提起したそばからお買い得商品のご案内です。
ご存じの通り、飲食店様のアルコール提供が規制されているので、
不動在庫が大量発生しております。
今後随時読者の皆様にご紹介させて頂きます。
在庫限りの投げ売りです!
ブログの説得力よりも、現金が欲しい業務用酒販店の現状をご理解頂き、是非ご注文下さい!
代表/善波栄治
1953年に、初代・善波秀吉が麻布十番にて創業。以来、本社を東麻布に移し、東京23区を中心に飲食店様への配送やお酒の小売りを行っている。
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