本みりんとみりん風調味料の違いは?

本みりんとみりん風調味料の違いは?

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ライター/ilovemirin片口

こんにちは、99%のみりん蔵から本みりんを集めてしまったみりん好き、 本みりんコンシェルジュ・片口菜摘といいます。

みなさん、「本みりん」はご存じですか。
色はどんな色でどんな味、とぱっと思いつくでしょうか。なかなか思い浮かばないと思います。
今回のコラムでは、こんな疑問をばっさり斬って、本みりんがだいたいわかったぞ!となってもらえるように書いていきたいと思っています。

前回からずいぶん間があいてしまいましたが、料理酒のレシピを掲載する前に本みりんについてもお伝えしてからレシピに行こうとおもいます。

ー 目次 ー

  1. 本みりんって端的に言うと?
  2. 本みりんと、それに似た調味料たち
    1. みりん風調味料とは
    2. 発酵調味料とは
    3. 本みりんとは
    4. まとめ:法律を基にみるそれぞれの違い
  3. 本みりんと類似調味料を間違えないためには?

本みりんって端的に言うと?

さて、本みりんを紹介しようとすると、よく

「酸っぱいの?」(酢と間違えている)

「アルコールって含まれているの?」(みりん風調味料との違いがわからない)

「日本酒の劣化版でしょ?」(作り方がよくわからない)

というふうに言われます。

どれもさっと答えが出てくる人は少ないのではないでしょうか。
端的に本みりんを説明すると、

本みりんは、“お米からできた甘いお酒”です。

甘いお酒ですが、米の甘みだけを麹菌の酵素が引き出して作られたお酒です。お酒なので、アルコール度数は、14.5~16.5%含まれています。

色は? 実は、金色から赤茶、オレンジ、黒色まで様々です。
色の違いの理由は、熟成年数、材料のちょっとした違いなどからきます。

和食に調味料として使われるほか、養命酒や保命酒のように薬酒のベースリキュールとしても現在も大活躍しています。

また、砂糖が貴重だった江戸時代は、その甘さからお酒として女性に人気のお酒でした。また、ひな祭り向けに限定で1月から発売される“白酒”も本みりんをもとにしたものです。ここ数年でも本みりんをお酒として出す面白い居酒屋が少ーしずつ見受けられるようになっています。

ところが、皆さん、みりんというと、なんだか似たものがたくさんあってよくわからない、と思われると思います。
本みりんに関して初回のこの記事は、その、本みりんと類似調味料について詳しく解説していきます。

本みりんと、それに似た調味料たち

本みりんに似た調味料は、食品表示の規定では、みりん風調味料と“発酵調味料”の2つがあります。

端的には、

・みりん風調味料は、アルコールを抜いた本みりんをイメージしてつくられた液体。

・発酵調味料は、お酒に塩を入れて食品として売り出している塩入りのお酒

の2つです。

それではそれぞれみていきますが、すこし難しい話も挟ませていただきますので、難しいと感じたらどんどん飛ばしてしまってくださいね。

・みりん風調味料とは

みりん風調味料とは、アルコール分が法律で0.9%以下と定められている、食品分類の液体調味料。

本みりんの真似をしているため、本みりんと同じく常温保存できるようにするため、塩分とクエン酸が含まれていることが多い。
アルコールを飛ばした酒や本みりんが実際に含まれているのは稀で、実際の成分はレモン塩飴を砂糖水に溶かしたのとほぼ変わらない、糖類・クエン酸・塩・水分であることがほとんど。

戦後の食糧難にともない、本みりんの製造が禁じられた際に製造され始めた。また、2000年ころまで酒の販売が制限されてほぼ酒屋でしか取り扱えなかったために、酒を販売できないスーパーマーケットがみりん風調味料を販売し、販路が拡大した。原料も安価で、酒税がかからないため、非常に安価。
ただ、クエン酸や塩味が料理の味のバランスを崩す原因にもなりやすい。

・発酵調味料とは

ここでいう発酵調味料は、食品衛生法に基づいた表示で、品目が“発酵調味料”と表示されるものを指す。ここでは、塩こうじや味噌などは含まない。この、発酵調味料は、アルコールを含んだ状態を保ったまま、酒を食品分類にする処置を施した酒類を指す。

アルコール度数に対して1.5%の塩分を加える必要がある。この記事では本みりんに焦点をあてているが、塩を入れられる酒は、本みりんのほか、清酒やワインもあり、その場合は料理酒として販売されていることが多い。
よく、廃棄のために必要な不可飲処置と混同され、「液体に2%の塩を入れているのが発酵調味料」と書いている記載が見受けられるが、それは間違いである。

これら塩を入れられた酒は、食品分類であるためスーパーマーケットが取り扱える利点もあるが、最も大きな利点は“材料に縛りがなくなる”ことであり、添加物を自由に入れられるようになることから、食品工業で重宝されている。業務用に、顧客のリクエストに応じてかなり自由に必要な塩分・うまみ調味料・みりん・酒を蔵元で調合し、それを食品分類の酒税非課税の状態で納品することで、食品加工工場は、調合の手間を省き、調合ミスのリスクを回避しつつ、酒税をコストとして削減できる。

・本みりんとは

本みりんは、酒税法が適用される、酒の一種。そのため、20歳未満の購入は禁じられている。材料は、もち米・米麹・蒸留酒で、添加物として、原液の250%まで糖類(ブドウ糖)などの添加が認められている。本みりんと記載する製品には、これ以外の原料を入れることはできない。
アルコール度数は、13.5~16.5%。(製法などは次以降の記事にて)
また、アルコール度数は規定がないものの、エキス分が40%以上でなければならない、と法律で定められている。(過去にエキス分が薄いみりんがお酒として流通して市場を荒らしたことがあったため。)それによって、酒税が他の酒類に比べるとかなり安い。 元々は、“みりん”や“みぃりんちゅう”と呼ばれる甘いお酒として1600年代から爆発的に広まった。ところが、戦時中に製造を禁じられたり、食品工業の隆盛でコスト面からの圧もあり、類似調味料が多く発生したため、「みりん」に“本当の”という意味で“本”がつけられ、《本みりん》と呼ばれるようになった。

・まとめ:法律を基にみるそれぞれの違い

上記の内容を表にまとめると以下のようになる。

本みりん発酵調味料みりん風調味料
材料もち米・米麹・蒸留酒
添加物として糖類
アルコール度数をもつ酒と塩、
その他自由
法による決まりはとくになし。
国の主な管轄酒のため、国税局食品のため、厚生労働省食品のため、厚生労働省
添加物糖類のみ可。
原液の250%まで可能
添加物は自由添加物は自由
アルコール度数13.5~16.5%程度
20%未満がほとんど
決まりはない0.9%未満厳守
エキス分40%以上とくに決まりなしとくに決まりなし
保存必ず常温常温・冷蔵どちらでも可常温可だが冷蔵推奨
売り場酒屋・酒販免許のある売り場小売店にはあまり出ないが、
スーパーなど
スーパー、コンビニ、百均
主な用途特に傾向なし食品工業・業務用向け中心酒販免許を持たないスーパーや
小売店向け
賞味期限記載はある場合もあるが、
酒なので原則必要も
腐る心配もない
記載義務あり記載義務あり
開封後はお早めに

以上が、簡単ではありますが、本みりんと類似調味料の違いをまとめた内容になります。歴史や細かい部分の解説は省いていますが、結構すべてを覚えるのは難しいかな、と思います。でも、納得できる違いではないでしょうか。

・本みりんと類似調味料を間違えないためには?

結局、ちゃんとした本みりんを見分けるにはどうしたらいいか。
簡単です。漢字・ひらがな色々あれど、《本みりん》と書いてある製品を手にとればいいだけです。本みりんは非常に多くの法律に縛られているので、それ以外の表記はできません。

だから、本みりんなり本味醂なり本味淋なりさえ書いてあれば、それは由緒正しい本みりんなのです。ただ、唯一の添加物が“糖類”です。添加が程よいものもありますが、1cc1円を切る廉価なものについてはかなり多く使われている場合があります。価格をみて、1cc1円未満でないかを確認し、材料表示をみて、糖類の添加を確認するのが最も簡単なよい本みりんの見つけ方ではないかな、と思います。

それでは、ここからは本みりんそのものがどんな風に活躍しているのか、どんな本みりんがあるのかをお勧めを紹介しながら展開していきましょう。


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ライター/ilovemirin片口

お酒はほとんど飲めないのに、味と香りは大好き。みりんを集めて活用しまくってSNSを中心に活動。現在、全国の90%の蔵元の本みりんを集めた。みりん呑み会を開催するほか、料理講師やレシピ開発でも実績を積んでいる。 Sake Diploma 2020取得、工業日英通訳として働いていたこともある。

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